バリの発生原因とその対策3

バリに挑む:第三回 加工方法編

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エンドミルによるバリの発生原因と対策を考えてみませんか?

バリへの対策という事でスタートしました本企画。今回は最終回となる第三回目の「加工方法編(加工方法・ツールパスによるバリのコントロール)」になります。

③ 硬きバリへの挑戦:加工方法編

 

パスの違いによるバリの発生

平面加工でのツールパスの方向によるバリ発生量の違いをテストいたしました。ツールパスは中心から外周側に繰り広げるパスと、外周側から中心に向かっていくパスで比較をしております。

工具 超硬ボールエンドミル R3
被削材 タフピッチ銅
切削条件 回転数
n(min-1)
10,000
送り
Vf(mm/min)
2,500
切り込み量
ap(mm)
0.53
切り込み量
ae(mm)
0.8
切削方向 ダウンカット
クーラント 不水溶性切削油


 図1 切削方向:内から外  図2 切削方向:外から内

中心から外周側に向かうパスにより、バリが外周側に多く発生。一方外周側から中心に向かうパスにより、外周側にでるバリの発生量を抑制できました。


高硬度材2次元半形状におけるバリ発生量の違い

被削材:YXM1(60HRC、SKH51相当)

図1 切削方向:内から外

上図のような形状を切削加工した場合、エッジ部(赤線)に多くバリが発生。

加工工程 荒取り加工 仕上げ加工
使用工具 MRBH230 R0.3×1ℓ MRBH230 R0.1×0.6ℓ
被削材 YXM1(60HRC、SKH51相当)
切削条件 回転数
n(min-1)
40,000 40,000
送り
Vf(mm/min)
720 180
切り込み量
ap(mm)
0.02 0.004
切り込み量
ae(mm)
0.03 0.004
切削方向 ダウンカット
クーラント オイルミスト
備考 取り残し加工として R0.2 → R0.15 → R0.1 を実施


ツールパス(赤線)

荒取り加工

形状内側から繰り広げていく動き

仕上げ加工

往復で走査線仕上げ

仕上げ加工後のバリの状態

エッジ部に大きめのバリが発生
その原因は。。。



バリの発生!その原因は・・・


○ 荒取り時、工具の抜け側と進入側が存在

工具が抜ける側にバリが大きく発生!

荒取り時に発生したバリがそのまま残っている



荒取り加工で工具抜け側をなくす軌跡を検討!
バリの発生を抑制できるのでは・・・



ツールパスを変更:切削条件・加工工程は同一

荒取り加工

形状外側から進入し、片側で走査線の動き

仕上げ加工

往復で走査線仕上げ

仕上げ加工後のバリの状態

荒取り加工の改善でバリを抑制


まとめ

バリは取り代が大きい荒取り加工時において最も大きなバリを発生させます。したがって、荒取り加工時においてバリを抑制・除去する事が非常に重要といえます。次工程や最終工程(仕上げ工程)でバリの除去をできないケースも、今回のV字形状テストにおいて見られました。また被削材が高硬度材であった場合には、更に除去を行う事が困難となる事が容易に想像できます。

全3回にわたり、エンドミルメーカーが考えるバリの対策をお届けして参りましたが、いかがでしたでしょうか。
工具形状による影響、工具寿命・切り込み条件の最適化、ツールパスの最適化、といずれも普段の加工で意識されている部分ではあると思いますが、バリというテーマを中心として考えてまいりました本企画、皆様にとりまして少しでも今後のご参考となるものであったら幸いです。

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