鏡面加工の事例と使用上のポイント

PCDボールエンドミル「PCDRB」事例第2弾

メイン画像

工具・スケールが映りこむ加工面をご覧ください!

日進工具のPCDボールエンドミル 「PCDRB」 は、プラスチック金型材に多く利用される40HRC以上の被削材に幅広く対応します。本サイト内の別記事では NAK80 を被削材とした事例のご紹介でした。今回は同形状で被削材を STAVAX とし、切削条件および加工面データをご紹介いたします。

また加工前準備のポイントの一つとして、動的振れの確認も非常に重要であり、実テストにて影響の度合いを比較したデータも用意いたしました。PCD・CBN・超硬工具と工具材種を問わず、仕上げ面の面質に影響を与える重要な要素となっておりますので、合わせてご覧ください。

STAVAX 52HRC 加工事例

総加工時間 16時間11分 図
クーラント 不水溶性切削油
ワークサイズ 60mm×40mm
(深さ:19.48mm)
工程 荒取り 中仕上げ 仕上げ
使用工具 MRBH230
R1×6
SSPB220
R1×5
PCDRB
R1×5



回転数
n(min-1)
25,000 40,000 40,000
送り
Vf(mm/min)
2,500 1,000 1,000
切り込み量
ap(mm)
0.2 0.02 0.005
切り込み量
ae(mm)
0.5 0.02 0.005
残し代
(mm)
0.025 0.005 -
加工時間 1時間33分 2時間56分 11時間42分

加工面データ

切削加工のみで ”Ra数十nm” という面粗度が得られております。工具・切削条件・機械・環境・段取りと、様々な条件が合致して得られているデータではありますが、機械加工のみで実現しました。

面粗さ
測定箇所
Ra(μm)
図
① 約25°面 0.030 ② 約55°面 0.012
図 図
測定器:三鷹光器社製 非接触三次元測定装置 NH-3SP
図

工具摩耗状況

約12時間加工を行った後の工具の状況です。画像からは摩耗もほとんど見られず、R後退量を測定してもほとんど数値が変わらない程、PCDRBは高い耐摩耗性を有した工具です。この工具寿命なくして、切削において安定した面質を生み出すことはできません。

約12時間加工後 PCDRB R1.0×5
工具状態
×300
図
R後退量(mm) 0.001以下
撮影機 キーエンス社製 デジタルマイクロスコープ VHX-5000


静的振れと動的振れ

振れには数多くの振れが存在します。工具単体で測定した際の刃先の振れ精度。ホルダーにチャッキングした後に、ホルダーの振れと工具の振れが合わさった状態の振れ。ホルダーが機械の主軸に取り付けられた際、工具の刃先で発生する振れ。ここまでが静的状態おける振れとなります。そこからさらに、実際に加工する際と同じ主軸回転数まであげ、その状態で測定するのが動的振れとなります。今回は撮像式の測定器を使用し、動的振れを測定、その影響度合いをテストいたしました。

動的振れ大小での面質比較

動的振れ量 4.0μm 0.5μm
全体写真
Ra
面粗さ測定箇所
図 図
赤枠部拡大
スケール
写り込み比較
図 図
面粗さ
Ra(μm)
0.031 0.018


まとめ

今回加工事例と合わせ、動的振れに関するデータをお届けいたしました。わずか数μmの違いが、鏡面加工において大きな影響を与えますが、この他にも切削油の違いや、ツールパス、設備の設置環境等々と多くの点が鏡面加工においては影響してまいります。設備投資も絡んでくることで、鏡面加工は簡単に実現できることではありませんが、一点一点要因を潰すことこそが、確実な一歩を進められるといえます。
今後もMONOTOOLBOXサイトにおいて、加工事例とともに動的振れテストの様なデータをご紹介してまいりますので、皆様のご参考となれば幸いです。

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