極小径エンドミルにおける加工精度向上
前回□1mmポケット加工を題材にし、前工程の工具サイズ選定による、仕上げ加工(極小径サイズ)工具への寿命影響に関しての事例をご紹介しました(→前回)。今回は同じく極小径サイズのエンドミルを仕上げ加工に用い、さらに加工精度を得るために工夫を行った加工工程(ツールパス)を採用した事例をご紹介します。
微細ポケット加工事例
被削材:DC53:60HRC(SKD11改相当品)
1.ポケットサイズ:6.26mm×0.63mm×深さ1mm
2.側面部は全て90°立ち壁
3.コーナー部および隅部は全てR0.05以下(スクエアΦ0.1以下も可)
加工のポイント
荒取り加工のパス | |
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ツールパス① | 等高線荒取り加工から行うと・・・本来の得たい加工面 |
極小径では特に、工具が倒れ、側面部も倒れ、削り残しが発生しやすい! |
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ツールパス② | 形状輪郭の溝加工から行う |
往復で加工することにより、高精度な立ち壁を実現。 |
加工手順 詳細
加工工程 | ツールパス | 型番・サイズ |
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荒取り加工 | 溝加工 | MHRH230 |
Φ0.1 で有効長 0.5→0.75→1 | ||
等高線 | MHRH230 Φ0.3×1 | |
仕上げ加工 | 等高線(側面) | MHRH230 Φ0.3×1 |
等高線(底面) | MHRH230 Φ0.3×1 | |
取り残し(コーナー&隅) | MHRH230 Φ0.1×1 | |
加工時間 | 5時間29分 |
※MHRH230 高硬度用ロングネックスクエアエンドミル
加工結果
上面部 | 3辺コーナー部 |
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コーナー部のビビリなし。工具径をCAMデータに反映する事で、隅部における工具間段差を抑制しました。 |
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観測ポイント |
仕上げ加工を意識した荒加工が小径エンドミルの高精度加工へとつながる!
まとめ 極小径エンドミルの加工において
仕上げ加工の取り代を一定に
荒取り加工時の加工精度が仕上げ加工に影響します。取り残しや倒れなどを極力減らして、仕上げ加工へ。
工具摩耗を考慮した工程組み
寸法精度の安定には、工具摩耗を減らす必要がある。仕上げ加工でも、工具を分けて加工する検討も。
極小径エンドミルでの加工では、仕上げまでの工程を、どのように組むかで、結果が大きく変わります。次工程で使用する工具サイズを意識して、前加工で使用する工具サイズを決めることが重要です。