コラム | 工具の学び舎 | アプリケーション編

cBN焼結体工具の特性〈前編〉

「cBN焼結体工具の特性〈前編〉」【アプリケーション編】をご紹介します。 是非、貴社の切削加工の向上にお役立てください。

目次

  1. cBN焼結体とは?
  2. 工具形状の特長
  3. cBN工具と超硬工具の比較-1
  4. cBN工具と超硬工具の比較-2

cBN焼結体とは?

図1
各工具素材の分布

cBN焼結体は地球上で最も硬いダイヤモンドに次ぐ硬さで、一般的な超硬合金の硬さ1,300~1,800(Hv)に対して4,300~4,700(Hv)を有します。また、耐熱性にも優れ、1,300℃まで安定し、Fe、Co、Niとは1,350℃まで反応しません。その為、コーテッド超硬エンドミルと比較すると、切削速度、工具寿命ともに、大きな違いがあり、特に高硬度材の仕上げ加工では、これらの違いに加えて加工精度等においても大きな効果が期待出来る工具素材です。 最近では、cBN焼結体エンドミルによる高硬度材の高速ミーリングで得られる加工精度は、例えば、面粗さRz1μm以下の超精密仕上げ領域が可能になります。この為、切削で得られる加工精度が近年急速に高まっています。

このようにエンドミル素材として非常に優れているcBN焼結体ですが、素材硬度が高い反面、カケ易いという弱点も持ち合わせています。その為、工具形状や切削条件には超硬工具とは違った配慮が必要になります。しかし、高硬度材への長時間加工や高精度な加工においては、抜群の切削性能を発揮し、加工物によっては、「磨き」が不必要な状態まで加工が可能です。

工具形状の特長

cBN焼結体は、素材の硬度が高い反面、カケ・チッピングが発生し易い為、エンドミルの刃先にチャンファリング(面取り処理)やエッジ部分に微小なR形状処理(ホーニング)を施し、マイクロチッピングの発生防止に努めるなどの配慮が必要です。しかし、チャンファリングをする事で工具の形状精度が悪化する場合があります。
当社のチャンファリングは、独自の研削技術により、高精度に出来ています。また、全体がネガティブなすくい角を有する切れ刃形状を用いる事も剛性面で有利であり、安定して性能を発揮させる有効な手段です。

cBNエンドミル刃形状の例

cBN工具と超硬工具の比較-1

cBN工具を超硬工具と比較してみると、長所としては長寿命であり、仕上げ面精度が良好であるという事があげられます。逆に短所としてはカケ易く、切り込みが入らないという点です。この短所をしっかりと認識して長所を発揮させる事が出来ると、超硬工具を遙かに凌ぐ高品位な仕上げ面が得られます。

加工後の摩耗状態
超硬工具とcBN工具の加工精度・工具寿比較

cBN工具と超硬工具の比較-2

面粗さの比較(Rz)

ポケット形状の仕上げ加工を超硬工具にて10個、cBN工具にて30個の加工を行いました。 超硬工具が10個目で(Rz)6.2μmに対して、cBN工具は30個目で(Rz)1.0μmという非常に良好な結果を得る事が出来、長時間にわたり加工精度を維持する事が出来ました。

※荒加工、中仕上げ加工はどちらも超硬工具で行いました。

工具の学び舎

基礎編

アプリケーション編

TOP