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切削条件を知る【第五回:ダウンカットとアップカット、工具の摩耗と寿命編】

【基礎編】切削条件を知る【第五回:ダウンカットとアップカット、工具の摩耗と寿命編】のご紹介です。今回が【基礎編】切削条件を知るの最終回となります。

目次

  1. ダウンカットとアップカット
  2. 工具の摩耗と寿命

ダウンカットとアップカット

ダウンカットとアップカットでは、同じ切削条件で加工しても、仕上げ面の状態や工具摩耗などに違いが出てきます。各特徴をご紹介いたします。

(1)ダウンカットの特徴

・刃先の摩耗がアップカットに比べて少ない傾向があり、工具寿命が長くなる
・切削面に光沢が出にくい
・切りくずは工具の進行方向の反対側に排出されるため、壁がなく排出が良い


(2)アップカットの特徴

・刃先の摩耗がダウンカットに比べて大きくなる傾向があり、工具寿命が短くなる
・切削面に光沢が出やすい(被削材の種類によっては光沢感に差が出ない被削材もあります)


(3)工具摩耗の比較

ダウンカットとアップカットでS50Cを50m切削加工した時の刃先状態になります。工具寿命は画像からも分かるとおり、ダウンカットの方が摩耗が小さく寿命が長いと言えます。


(4)工具の倒れについて

切削抵抗により工具の倒れが発生することがあります。ダウンカットの場合は工具が被削材から逃げ、アップカットの場合は工具が被削材側に食い込みます。
工具の倒れ対策として、突き出し量が長いと剛性が小さくなり、倒れ量が増大するため、突き出し量は必要最小限にします。また、送り速度や半径方向の切込み量(ae)を小さくすることで、切削抵抗が減少し、倒れ量を低減させることができます。

工具の摩耗と寿命

(1)工具摩耗について

工具摩耗とは、工具表面が切りくずや被削材との摩擦により擦り減る現象で、摩耗の発生する場所は、逃げ面・すくい面・コーナーとなります。工具摩耗が進行すると、工具形状が変化し寸法精度や、加工面粗さに影響を及ぼします。



(2)工具寿命の考え方

工具摩耗が進行すると加工の状態が悪化します。従って工具寿命の判断が必要となってきます。判断基準は、下記のように加工の品質レベルを満足しなくなった段階や、使用後の工具の摩耗状態、切りくずの状態等で寿命を判断する方法があります。


    

<バックナンバー>
    
【第一回:入門編】
【第二回:回転数と切削速度編】
【第三回:1刃当たりの送り量・送り速度の算出方法と切削条件の調整編】
【第四回:切削条件の設定、切込み量・送り速度の考え方編】

 

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