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工具の振れを知る

【基礎編】「工具の振れを知る」のご紹介です。

目次

  1. 振れの確認
  2. 振れによる影響
  3. 振れの原因
  4. 清掃が高精度加工を実現

振れとは?


エンドミルはマシニングセンタ主軸にツーリングを介して装着し、回転させることでワーク(被削材)を加工する工具となります。仮に先端径 10mm の工具を使用した場合、マシニングセンタの主軸中心から 5mm の位置を工具の刃先が常に周回している事となります。

しかし、マシニングセンタ主軸中心、ツーリング中心、工具中心間における各箇所のズレや、ツーリングおよび工具が傾いた状態での取り付けに起因し、周回する刃先の位置がズレてしまいます。このズレを取付時の刃先の振れと呼びます。

振れの確認

高精度加工の第一歩は振れの確認から

工具を取り付けてまず静的振れ量を確認します。
※静的とは機械主軸を回転させていない状態


  • 工具静的振れ量=α(μm)
  • 工具回転振れ量=α以上
    ※ほとんどの場合


  • 静的振れ量が大きい場合
  • 再度ツーリングセット

    シャンクで振れていればそのさきは更に大きく振れる事が多い為。

振れによる影響

加工精度

例えば次のような加工の場合どうでしょうか?

使用工具径 ⌀2 mm
工具の振れ量:0.01mm(片側:0.005mm)

使用工具径 ⌀2 mm + 工具の振れ量:0.01mm = ⌀2.01 mm


加工形状

許容寸法 1.995 〜 2.005 mm

+ 0.005 mm 削りすぎている!

この状態で加工を行うと、寸法公差から外れるのがお分りいただけると思います。

工具取り付け時点で、すでに加工不良品になっています!

工具の損傷

工具の振れ量が大きい場合の工具摩耗状態をご紹介します。

すくい面①
すくい面②

上記2枚の写真は同一工具ですが、すくい面②の方が摩耗量は大きくなっています。工具の振れが原因となり、刃毎で半径方向の切り込み量(ae)が変わってしまっており、摩耗幅として差が出ている状態となります。
刃毎で差が出ているため、加工面精度・面質へも大きく影響します。

振れの意外な原因

使用するツーリングを見てみると。。。

前回使用した切りくずやクーラントが付着

ツールセットしても、異物により機械主軸の軸芯およびツーリングの軸芯からもズレる

損傷

コレットの損傷


工具が損傷すると
コレットも損傷する場合が多い

エンドミルのシャンクをくわえる箇所に損傷がある状態でコレットを使用した場合、工具の刃先の振れが大きくなる場合があります。

清掃が高精度加工を実現

ツーリングとコレットについて

洗浄剤を付けた状態で清掃すると
油分が落ちやすい。

※コレットは消耗品です
交換することで工具の振れが改善される場合もあります

主軸テーパ部について

触って、主軸合わせ面の凹凸も確認

主軸テーパ部分や、その合わせ面についても同様。ゴミや油などが付着しては、振れ精度が向上しません。また、ツーリング側については、手で触ることにより、打痕や傷による凹凸(特に凸)がないことを確認。打痕等による凸部分があるツーリングでは、工具取り付け直しても振れを抑えることは、難しいと考えます。

ツーリングの清掃・管理によりツーリングの精度を保つことが、取付時の刃先の振れを減らす近道です。

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