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クーラントを知る

【基礎編】「クーラントを知る」のご紹介です。

目次

  1. クーラントの効果
  2. クーラントの種類
  3. 水溶性切削油の種類
  4. クーラントについて
  5. まとめ

クーラントの効果

そもそもクーラントとは?

切削加工の際に使う潤滑液、潤滑剤、水などを総称してクーラントと呼びます。また、切削油、切削油剤とも呼ばれます。

なぜクーラントが必要なのか?

切削加工時に発生する熱の冷却や、切りくずを排出しやすくする目的で使用します。

クーラントの種類

エアーブロー

空気を勢いよく吹き付ける

オイルミスト

油と空気を一緒に吹き付ける

不水溶性切削油

油に添加物を加えたものをかける

水溶性切削油

油を溶剤によって水に溶かしたものをかける

水溶性切削油の種類

どのように分類されているか簡単に確認しましょう。

クーラントについて

クーラントに様々な種類がある事が上記でお分かりいただけたと思います。ではその様々な種類のクーラントの使い分けはどの様に行うのか?以下に焼き入れ鋼の荒取り加工を例に、寿命比較を行いました。

クーラント違いによる寿命差

クーラントの違いによって1本の工具で何個加工できるか?

使用工具 MACH225 R0.3
回転数 20,000 min-1
送り速度 3,000 mm/min
切り込み量 0.05mm(ap) × 0.1mm(ae)
被削材 SKD61 52HRC
加工時間 約25分/個
切削長 約16m/個
※荒取り加工のみ

結果

焼き入れ鋼の加工においては、水溶性切削油やエアーブローよりも、オイルミストが圧倒的に寿命が伸びるという結果が今回は得られました。被削材によって、例えば熱が発生するとすぐエンドミルへの溶着を起こしてしまう様なアルミにおいては、水溶性切削油が有効といえます。クーラント装置は設備に関わる部分となる為、適時被削材毎に対応するという事は難しい部分となりますが、工具や加工結果へ与える影響は非常に大きいといえます。

クーラントのかけ方について

続いて上図をご覧ください。左側はホルダーからの工具突き出し量を最小としたケースとなり、右側は、突き出し量を大きく取っているケースとなります。通常、ホルダーからの工具突き出し量は、工具剛性を確保するため、最小とする事が推奨されます。しかし今回のポケット加工において、工具の突き出しを最小とすると、図の様にクーラントの供給をホルダーが阻む形となり、結果工具寿命が極端に短くなったという事例となります。加工形状によって、工具突き出し量の最適化(この場合はクーラントが供給されるように)、またこのケースにおいては口元が細い焼きばめホルダーを利用することも有効であるといえます。
ほか加工形状だけでなく、工具へのクーラントの供給が不足するケースは、クーラント圧力も関係してまいります。下図の様に、クーラントノズルの向きを均一にしない事で、圧力に影響を及ぼし、結果工具へのクーラント供給に差が出ます。

まとめ

クーラントの選定は被削材や加工形状に大きく左右されるといえます。繰り返しとなりますが、設備にも関係する部分である為、簡単に変える事が出来ないものとなりますが、クーラントが及ぼす影響・効果について把握する事は切削加工において非常に重要であり、切削条件の調整に影響を及ぼす要素となります。

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